1981-01-01から1年間の記事一覧

うそwizardry6

街に着いたのは時計の短針が天辺に差し掛かるであろう時刻*1だった。コーヴァーが城砦の門に近づいただけで、門番はすばやい動きで身を返して錠を外した。 「この者は私の連れだ、一緒に通してくれるか」 「勿論ですとも」 やがてガチャンと一際大きな音がしたか…

うそwizardry日記5

町外れの訓練場には僕が冒険者登録を行った事務所のほかに、野球*1ができそうな程度の正方形のグラウンドと、この街一の蔵書が眠る図書館、それに連なるようにして魔法の研究室と屋内訓練施設(高校のときの体育館より狭くて天井の低い石造りのドーム上の建…

うそwizardry日記4

僕はケンカらしいケンカをほとんどしたことないが、22年間の記憶の中に残っている回数を絞り出すように勘定するなら、都合3回ほど、ある。 1回は、小学校4年生のとき。上級生からの執拗ないじめにあっていた僕は、その清掃時間にたけぼうきを持って、上級生…

うそwizardry日記3

「先日、マロール*1による事故で1人のメイジが行方不明になった」 ここはどこだ、こんなテーマパークに来た覚えはない、腹減った、眼鏡を弁償しろ、と散々わめいた挙句、息も絶え絶えになった僕に向かって、テーブルに手を組んで置き偉そうに座っている真ん中…

うそwizardry日記2

そのあとはというと、西洋と東洋と近代が微妙に交じり合った街*1を半ば夢うつつという感じでさ迷い歩いた。革靴が石畳の道をこりこりと音を立てる。すれ違う人々もここはニューヨークかと言うくらい*2のさまざまな人種が混在していた。最初、何かのテーマパ…

うそwizardry日記

異臭で目を覚ますと、傍らには飼葉桶と、何かの生き物の糞があった。 まだ夢のなかなのだろうか?いや、今枕にしている干草の感触は確かな物だし、仰向けになり右を向いた僕にさわやかなモーニング・コールを仕向けた汚物もまた、今現在が"現実"である事を自…